星に願いをかける前に寝る

半導体製造装置の構成部品製造に、金属3Dプリンタを活用して高性能化を実現した具体事例を5つ紹介します。

半導体製造装置におけるマニホールド流体フローの最適化
半導体製造装置の性能向上において、液体や気体など、流体の流れを最適化することが必要不可欠です。
この流体の流れに大きな影響を与えるのが、マニホールドという部品です。緻密な制御を実現するために複雑な形状になります。
しかし、マニホールドは大きく重い部品である点が課題です。マニホールドは、従来の製法では複数の部品を組み合わせて作られています。
それぞれの部品の製造できる大きさの制限や、軽量化のための肉抜きは難しいことも要因です。
また、この製造方法では滑らかなカーブを組み合わせた最適形状の実現が困難です。
その結果、流体の流れが急に変化したり、停滞したりする部分ができてしまいます。
また、組立時の組み合わせ部分から流体が微小に漏れてしまうこともあります。
このような従来の製造方法で生じる課題は、一体造形で解消できます。
精度の高い金属3Dプリンタを用いた積層造形では、一体造形が可能です。
最適な流体の流れを実現できるマニホールドは金属3Dプリンタの採用で、最適な大きさかつ、軽量化も実現できます。


ウェハテーブルの流路微細化
半導体に必要不可欠なウェハを効率的に処理するために求められるのが、製造装置の高付加価値化です。
高付加価値化の実現には、製造時の表面温度や熱勾配の課題を解決する必要があります。
これらの課題を解決するのが、ウェハテーブルの流路微細化です。微細化により、従来は難しかった高性能な温度管理を実現できます。
特にウェハテーブルは温度管理に大きな影響を与える設備の構成要素です。ナノメートルのスケールでは、わずかな形状の差が影響します。
しかし、従来の製造方法では理想的な形状を実現するのは困難でした。
金属3Dプリンタを活用すれば、ウェハテーブルの流路を微細に造形できます。
半導体製造装置の高性能化や半導体製造の効率化を実現可能です。

ラティス構造やバイオニック形状を取り入れた熱交換器
半導体製造において必要不可欠な熱交換器の性能は、限られたスペースの中でどの程度放熱面を確保できるかがポイントです。
放熱面を拡大するには、ラティス構造やバイオニック形状といった複雑な形状の部品を採用します。
ラティス構造とは、枝状の格子を並べることによって実現する構造であり、金属3Dプリンタ以外の製法で製造することは困難です。
また、バイオニック形状とは特定の形状を指すのではなく、
生物の構造や組織、進化、消滅などに注目しヒントを得て実現する形状を指します。


ガスミキサーの部品点数削減と形状最適化
一般的に、半導体製造装置の洗浄やエッチングプロセスでは、ガスを使用します。
ガスが製造装置外部に漏れたり、ガスの流れが乱れたりすることなく、
ガスを洗浄やエッチングを行う箇所まで効果的に搬送することが重要です。
使用するガスの中には金属に対して腐食性を持つものもあります。
腐食防止に必要なのは、流路となる部品に耐腐食性の高い材料を使用することです。
また、最適化された流路となる部品の形状は複雑になります。
従来は分割した複数の子部品を製造し組み合わせて狙いの形状を実現していました。
金属3Dプリンタを用いれば、複雑な形状の部品でも一体成型することが可能。
部品点数を削減しつつ、最適化された形状のガスミキサーを短時間で開発できます。
また金属3Dプリンタを用いた部品は、接合部分がありません。
従来よりもガスの漏れや乱れが発生しにくくなり、効果的なガスの混合や搬送の実現に繋がります。

シャワーヘッドの均一性向上と生産リードタイムの短縮
半導体製造の成膜工程において重要なのが、積層の均一性です。成膜工程には、シャワーヘッドという部品が広く使われています。
成膜工程の性能に大きな影響を与えるのが、シャワーヘッドに開けられた多数の穴の構成と温度の安定性です。
高性能なシャワーヘッドを実現するためには、
非円筒形のノズル形状や温度安定性を向上させるために構成される複雑な冷却経路、また漏れの防止などが必要です。
しかし、これらを実現するために必要な数千の小さな穴は、従来の製造方法で実現できませんでした。
金属3Dプリンタを採用すれば、狙い通りの形状を実現可能。積層の均一性向上や生産リードタイムの短縮に貢献します。

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