2022年10月26日

金属用3Dプリンターと従来の金属加工の違い

従来の金属加工のほとんどは、射出成形に代表されるような「FM:Formative Manufacturing」と呼ばれるものと、切削加工に代表されるような「SM:Subtractive Manufacturing」と呼ばれるものに分類されます。一方で、金属3Dプリンターによる造形方法は「AM:Additive Manufacturing」と呼ばれ、FMやSMと異なる特徴を持つ新たな製造方式です。それぞれを簡単にご紹介します。


Formative Manufacturing
鋳造やプレス成形のように、内部の詰まった密な構造を造形する方式です。型枠へ融けた金属を流し込み、後に型から取り出します。場合によってはオーバーハング角などの形状的制約があり、設計者はそれらを考慮して工程を設計します。型を繰り返し使要することで、同一形状を量産できるため、大量製造に適した手法です。

Subtractive Manufacturing
切削に代表される手法で、芸術分野における彫刻のように、対象物の材料を取り除きながら加工するため、引き算的手法とも呼ばれます。加工面へのアクセス(加工機器の先端が接面すること)が可能であれば、かなり自由度の高い造形ができます。実際の製造現場では、他の手法と合わせて、後加工や仕上げとして用いられる場合もあります。


Additive Manufacturing(3Dプリンター)
SMとは逆に、足し算的手法と呼ばれる手法です。材料を追加しながら積み上げてゆくことで造形する方式であり、3Dプリンターのほとんど箱の分類に属します。

上記2つの従来加工法と比較すると、造形の自由度が高い点が大きな強みとして挙げられます。FMにおいて欠かせないオーバーハング角を意識する必要がなく、またSMにおいて欠かせない加工面のアクセシビリティも意識する必要がないためです。型や治具・固定具が不要な強みもあり、3Dプリンター機器と消費した材料以外の経費をほとんど考慮せずに済む点において、従来の加工法とは大きく異なります。さらに、入力データの変更により素早く製造物の形状を変えられる点も重要な特徴です。

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2022年10月20日

金属造形の課題

製造コストがかかる
金属粉末は樹脂に比べて価格が高く、産業用金属3Dプリンタの本体価格は数千万~数億円と高額です。
造形方式によっては脱脂・焼結の設備も必要です。金属3Dプリンタは精密機器であり、こまめなメンテナンスも欠かせません。
自社に金属3Dプリンタを導入して試作品や小ロット生産のみに利用する場合では、十分な費用対効果が得られない可能性があります。


大量生産が難しい
大量生産に向かない点も課題です。
小さいサイズであれば複数でも1度に製作できますが、大きなサイズの造形物は一つずつ製作しなければなりません。
パウダーベッド方式では成形後に金属粉末の中から製作物を取り出す必要があり、形状によってはサポート材も必要です。
FDM方式やバインダージェット方式では、脱脂・焼結の後工程が発生します。1回の造形に手間がかかるため、大量生産のハードルは高めです。


精度に差が生じる
造形方式や機種の違いによって、製作物の精度が変わってくる点にも注意しましょう。
精度に影響する要因には、金属粉末の粒径やレーザー・ノズルの口径などがあります。
さらに、金属造形では必ず金属の膨張・縮小が起こるため、ゆがみを防ぐための技術力や試行錯誤が求められます。
精度が必要な場合は、機械加工などの仕上げ工程が不可欠です。

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2022年10月14日

金属積層造形の造形方式

ここでは、4種類の金属積層造形方式について、メリットとデメリットを含めて解説します。

パウダーベッド方式
パウダーベッド方式とは、金属粉末を一層ずつ敷き詰め、成形したい部分にのみレーザーや電子線などを照射して溶融凝固させる方式です。
他方式と比較し、高強度かつ高精度な造形物を作れます。また、利用できる金属の種類が豊富である事も特徴の一つです。
ただし、一層ごとに金属粉末を敷くため、造形時間が長くなります。


メタルデポジション方式
メタルデポジション方式は、粉末やワイヤ―を連続供給しながら造形したい箇所のみに溶解させた金属を積層し、冷却して硬化します。
金属を溶かす手段には、アーク放電またはレーザーなどを選択します。短時間での造形が可能で、
金属部品の部分的な補修もできる点がメリットです。一方で、金属を噴出しつつ造形するため、微細な造形には不向きです。

バインダージェット方式
バインダージェット方式は、敷き詰めた金属粉末にバインダーを吹き付けて固定化します。バインダーとは、熱可塑性の結合樹脂剤です。
他の方式よりも素早く造形できるメリットがあります。
ただし、脱脂・焼結工程が必要であり、造形物中の空隙が他製法よりも多くなりがちな点には注意が必要です。
素早く造形できる点は大量生産向きですが、用途によっては空隙の問題を改善しない限り、実用化は困難と言えます。


FDM方式
FDM方式も、バインダーを使用して金属を固定化します。
ただし、FDM方式はあらかじめ準備した粉末金属とバインダーを混ぜたスティック状やワイヤ形状の材料を噴出して造形します。
FDM方式は、設備価格が割安であるため、多くの企業で導入が進んでいます。FDM方式で作った造形物にはバインダーが混在しているため、
バインダージェット同様、金属部品として使用する前に脱脂・焼結工程がが必須となります。

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2022年10月09日

サーボモーターとステッピングモーターの違い「従来常識」

ここでは、設計初心者に向けてサーボモーターとステッピングモーターの使い分けをするために必要な大きな違いを纏めました。

サーボモーターは高いがステッピングモーターは安い
サーボモーターに比べてステッピングモーターは一般的に「使いやすくて安い」と言われていますが、安いといっても購入の安さと制御がシンプルで結果的に安いというのがあります。ステッピングモーターはセンサもフィードバックも不要なので構造物がシンプルで制御もシンプルということです。


サーボモーターとステッピングモーターはトルク特性が違う
サーボモーターは中回転域から高回転域までフラットなトルク特性が特徴で、ステッピングモーターのトルク特性はフラットではなく、低~中回転域においてトルクが高く高回転域ではトルクが下がってきます。

サーボモーターは過負荷アラーム。ステッピングモーターは脱調
急激な速度変化及び過負荷時において、サーボモーターとステッピングモーターは私たちに対して違う反応をします。サーボモーターは過負荷アラームが鳴り停止、ステッピングモーターはアラーム無く脱調し同期を失います。脱調とは「入力パルスに同期しなくなった状態」であり回転角度を制御できなくなってしまいます。但し、設計が適切で容量選定が適切なモーターを使用の場合、モーターが脱調することはありません。


応答性はステッピングモーターの方が勝っている
サーボモーターはエンコーダのフィードバックを待つので指令に対しての「遅れ」が存在するんですが、「オープンループ制御ステッピングモーター」はパルスに同期して動作するので「遅れがほぼ無い」です。そのため実は複数モーターの同期運転にも特性的には適しています。

停止精度はサーボモーターもステッピングモーターも高い
停止精度はサーボモーター及びステッピングモーター両者高精度であると考えてよいです。参考までにですが、ステッピングモーターの停止誤差はステップ間で累積しません。

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