2021年10月25日

3Dプリンターの各分野での代表的使用例

医療分野での使用
再生医療部門博士アンソニー•アタラ博士は、患者の生きた細胞を使って3Dプリンタによって移植可能な腎臓を出力した。患者のCTスキャンから腎臓のボリューム全体を再構築することができ、3Dプリントして生成移植することが可能とのことだ。実際、移植リスト上の患者の90%が腎臓を待っており、3Dプリントで腎臓を生成することで多くの患者を救えると言っている。

また、義肢や義顔の製造においても3Dプリンターは使用されている。最近ではバイオプリンターの研究もおこなわれプリンストン大学では人口耳を製造したともいわれている。

自動車業界での使用 試作車両・部品の生成
アメリカの代表的な自動車メーカーであるGMとフォードも製品開発の分野で3Dプリントを使用している。GMは2014年のシボレー・マリブの試作に3Dプリンターを使用して時間を大幅に短縮した。液状樹脂でパーツを生成したことによって車体の重量が軽くなり、燃費が向上することができたとしている。また、風洞で試作車を実験するためにフロントの設計に3Dプリントを使用したり、フロントシートのバックパネルを生成するのにも使用している。

一方フォードは数多くの部品の製造に3Dプリンターを使用している。具体的にはシリンダーヘッドやブレーキローター、シフトノブやベントなどの製造に使用している。またトレンスアベニュー組立工場においてエクスプローラーとエコブーストエンジンの生産のために使用されている。

宇宙開発分野での使用 NASAでの使用
前回、ロッキード・マーチンが宇宙開発分野での使用、特に人工衛星の部品に3Dプリンターを使用しているとの記事を紹介したが、NASAでも使用されている。NASAでは3Dプリンターの研究がなされているが、具体的にはロケットエンジン噴射装置の製造に使用されている。

また、国際宇宙ステーションにおいて、宇宙空間での3Dプリンターの使用を研究している。これは宇宙飛行士が宇宙で部品が不足した場合に3Dプリンターが使用できれば、わざわざスペアパーツを運ぶという必要性がなくなるためである。スペアパーツなどが必要になった場合、地上からデータをアップロードすることによって生成することができるとしている。

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2021年10月19日

ロボット溶接システムの品質と稼働を安定させる為の自動補正機能とは?

1.ロボット溶接においての課題
産業用ロボットは一般的に「教示された通りに、精度良く、くり返し動作する」ものです。
繰り返し精度は、±0.1mm~0.5mm程なので、そこまで精度が悪いものではありません。
しかし溶接の対象となる構造物は下記の様な個体差が発生します。

切断寸法
曲げ角度
仮付け位置
母材の歪み、反り
治具固定時のズレ
溶接中の熱変形
このような加工で起きる加工寸法の誤差が元で、ロボットに教示してある溶接トーチと溶接線の位置
が微妙にずれてくる事は容易に想像が出来ます。
このような誤差が発生する環境でも長期的に品質と稼働を安定させていくためには、変化をセンシングしてトーチ位置やロボットの軌道、溶接条件を修正していく事が解決の手段として有効です。
特にTIG溶接等、シビアな溶接線の管理が必要な溶接には必須と言えます。
もちろんロボットの絶対精度の問題もありますが、多くの場合のロボット溶接においては、ロボット自身の精度よりも、むしろその相手(被溶接物)側の様々な要因によるずれを、いかに補正できるかが課題になります。

今回はそんな溶接ロボットの補正が可能となるセンシング機器について解説していきます。

2.センサーの種類や分類
まずセンサーについては下記の2点に分類されます。

接触式センサー
非接触式センサー
接触式センサーで一般的なのは

●接触プローブセンサ
溶接トーチと一体で動作するようにした接触子を開先にあて、開先の位置を検出する事が可能でアナログ信号でリアルタイムに位置を検出するものと、リミットSWのようにON/OFF(センサーが当たった瞬間の位置)を検出するものの2種類が一般的です。

●ワイヤータッチセンサ
溶接ワイヤ自身を接触子として用いるもので、微弱電流を流した溶接ワイヤと被溶接物との接触により、溶接開始点や終了点、継手位置等を検出します。
溶接トーチやロボット手首の近くに、検出ヘッドなどのじゃまになる機構を必要とせず、狭い部などでも適用上の制限が少ない.
溶接ワイヤ自身により位置検出を行うため、 センサ自体の位置調整(キャリブレーション)を必要としない.
簡単な制御回路で構成でき、センサ機構や計測装置が不要なため経済的である. ただこの方法はアーク発生中のリアルタイムの倣いではないため溶接線そのものの検出には不向きで、多くの場合は溶接前の溶接開始点検出用として用いられ溶接線に追従するアークセンサと併用する事も多い。
非接触式センサーとしては

●アークセンサ
消耗電極アーク溶接を開先内でウィービングしながら行った時の、溶接電流またはアーク電圧の変化を検出し、トーチ位置の制御を行います。特にZ相(溶接面からトーチ間の距離)の制御が行われ溶け込み量を安定させてくれます。
アークセンサは以下のような特徴をもっており有効なアーク溶接用ロボットのセンサとして広く用いられてます。
アーク自身をセンサとしているため、溶接トーチやロボット手首の近くに検出ヘッドなどの機構を必要とせず、複雑な形状のワークにも適用できる.
溶接中の熱変形にも追従でき、リアルタイムで3次元溶接線倣いができる.
アーク光、スパッタ、ヒュームなどの影響を受けず、精度、耐久性に優れている.
低コストで、経済的である.
アークセンサはアーク自身をセンサとするため検出ヘッドが不要で、アーク、スパッタ、ヒュームなどの影響を受 けないが、ウイービングを必要とするため実用溶接速度範囲は、1.5min/m 程度であり、相応の開先のあ る所にしか適用できない.

●レーザーセンサー
レーザー光を照射するセンサーヘッドを溶接トーチと同様にロボットハンドに装着し、溶接前にレーザー光を
被溶接物に照射して、形状の変化を読み取る事で、開先や溶接位置の検出を行います。
レーザ光の反射により2Dの点群データを読み取りロボット側にフィードバックしたのちに専用のソフトウェアにて点群データを編集、任意の設定した加工点を中心にロボットの加工PRGが補正されるモノです。
レーザー光による検出精度は非常に優れている事と周辺環境にも影響されにくい事が特徴です。
TIG溶接の突き合わせ面などGAPがゼロに近いものでも、微細な段差や寸法の変化を検知する事が出来ます。
センサーから得られた点群データ(各計測地点の座標を持ったデータ)を編集、加工する事で、複雑な形状の判別も可能なので、より幅広く応用が利くセンサーです。
ロボットハンドにレーザーセンサーを装着し加工前に一度サーチしてからロボットコントローラーや外部ソフトウェアにて位置補正を実施
レーザー発光面には溶接によるスパッタやヒュームの影響からレンズを保護するカバーが取り付けられていて定期的に交換が必要
補正機器としては高価でセンサーのみで数百万円する事もあります。レーザー光から得られたデータを編集し加工点をサーチ、ロボットPRGを補正するソフトウェアが別途必要になる場合も多いです。(特にメーカー純正ではないレーザー補正システム)
直近ではレーザーセンサーから3Dのモデルを自動で生成し3Dモデル上で加工点をサーチしロボットPRGを補正してくれるソフトウェアの開発も進んでおり、今後の成長が最も期待される分野です。
このようなセンサーを活用する事で被溶接物の寸法・形状・姿勢の変化をサーチし、ロボットPRGを
自動で補正していく事で、品質と稼働の安定を図る事が出来ます。

主なセンサーの機能の整理としては
①ティーチングなどにより記憶されたトーチの位置・軌跡に対し、実際の溶接線を検出し、誤差を修正する。
(基となるティーチングデータの開始点を溶接線に合わせて自動で補正する)
②開先幅や裏波の状況などをセンシングし、溶接電流・電圧・速度・ウィービング幅などの溶接条件を修 正する.

溶接加工においてはMIG、MAG、TIG、レーザー等複数ありますが、共通して自動化の課題になるのはいつも、被溶接物の寸法、姿勢の誤差ですが、全ての加工条件で寸法誤差を減らす事は非常に大事ですが、それでも誤差は生まれてきます。
ロボットはあくまで人間でいう所の腕にあたり、モノを考えたりする事は出来ませんので、センサーが目となりソフトウェアが脳として加工物の個体差を判別しズレを修正する事で、人間の職人と同様に溶接を行わせる事が出来ます。

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2021年10月12日

バイポーラ型ステッピングモーターの制御

ステッピングモーターは一般的な“モーター”と異なり、「回転子が決まった角度を連続して移動(回転)するデバイス」であり、その形式には巻き線の電流を1方向に流す「ユニポーラ型」と、巻き線の電流を双方向に流す「バイポーラ型」が存在します。今回はバイポーラ型の制御がテーマです。

バイポーラ型とユニポーラ型の駆動
 バイポーラ型とユニポーラ型のステッピングモーターを比較したものです。左のM1がユニポーラ型、右のM2がバイポーラ型です。

ユニポーラ型が2組のコイル中央にタップがあるのに対して、バイポーラ型は2組のコイルがあるだけです。端子数も6本と4本で異なります。

 ユニポーラ型はAとOの間に電流を流した後にフェーズの異なるBとO間で電流を流し、そして次にCとO間、最後にDとO間へと順次、電流を流します。これを繰り返すことにより軸は回転します。両フェーズのタップ(O)は常にグランドあるいはプラス電源に固定されています。

 それに対しバイポーラ型の駆動方法は電流の向きを変える操作が必要です。まずAからCに電流を流した後、今度はDからBに電流を流します。次に先ほどとは逆にCからAに電流を流し、最後にBからDに電流を流します。これを繰り返すことにより軸を回転させます。

 ユニポーラ型は回転時の各フェーズのコイルのどちらか半分は電流が流れていない状態なのですが、バイポーラ型は電流の向きは逆になりますが常にコイルは機能しています。ですので、バイポーラ型のほうが同じ巻き数のコイルであればより効率よく回転させることができます。またコイルの中間からタップを出す必要がなく電気的により単純な構造となります。

 その反面、ユニポーラ型の駆動は電流を流すコイルを切る替えるだけでよかったに対しバイポーラ型は電流の向きを変える操作をしなければなりませんので、駆動回路はより複雑になります。

手動スイッチングで動かしてみる
 前回のユニポーラ型と同様、タクトスイッチを使って手動でパルスを生成しバイポーラ型ステッピングモーターを動かしてみます。トグルスイッチを使えばより簡単に操作できる回路を組むこともできるのですが、動作原理を確認するため、今回もタクトスイッチを使って回路を構成してみます。

タクトスイッチのS1とS4を同時に押すと、1ステップ軸が回転します。次にS5とS8を同時に押します。次にS1とS3を同時に押します。そしてS7とS6を同時に押します。この順番でこの操作を繰り返すと正回転します。これと逆の順にスイッチを押すと逆回転します。

 それではコイルにかかる電流の向きを詳しく見てみましょう。

 S1が閉じるとステッピングモータのコイルのA-1端子にプラス電圧がかかります。S3が閉じるとコイルのA-2端子が電源のグランドに通じます。これが同時に起きるとコイルのA-1端子からA-2端子に電流が流れます。すると1ステップ分軸が回転します。

 次にS5とS8が同時に閉じた場合を見てみましょう。S5が閉じることによりコイルのB-1端子にプラス電源がつながります。またS8が閉じるとコイルのB-2端子が電源のグランドにつながります。

 S3とS2が閉じるとA-1端子にグランドA-2端子にプラス電源がつながります。S7とS6が閉じるとB-1端子にプラス電源、B-2端子にグランドがつながります。これを循環的に繰り返すことによりバイポーラ型のステッピングモーターの軸を回転させることができます。

このスイッチ操作では、対面しているスイッチ(S1/S2、S3/S4、S5/S6、S7/S8)の組み合わせを同時に押さないでください。電源が短絡してしまい危険です。最近の電源回路には保護装置入っていることが多く大事には至らないと思いますが、電池を使っている場合には電池が発熱する場合があります。

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