2018年07月13日

サーキュレーターはどう使う? 扇風機とは違うのか

夏が近づくにつれ、家電量販店の店頭で扇風機やサーキュレーターを見かけるようになった。日本では扇風機のほうがメジャーだが、海外、とくに高温多湿なアジア圏ではサーキュレーターが当たり前に使われている。


この記事を読む人には扇風機とサーキュレーターの違いがよく分からないという人も多いだろう。だが、サーキュレーターを上手に使えば、エアコンの冷気や暖気を部屋全体に行き渡らせて快適性を増せるうえ、省エネ効果も期待できる。これからの季節にぴったりだ。今回は、サーキュレーターの仕組みや、扇風機との違い、効果的な使い方について、家電コーディネーターの戸井田園子さんに話を聞いた。

扇風機とサーキュレーターはどう違う?
 扇風機とサーキュレーターは、見た目はとてもよく似ている。違うのは生み出す風の性質だ。「扇風機は幅広く拡散する風。基本的に人に風を当てるために使います。一方、サーキュレーターは狭い幅で直進する風。人に当てず、室内の風を循環させるために使います」(戸井田さん)。
 このため、扇風機は人のいるところに向けるのが基本的な使い方。一方、サーキュレーターは天井や壁に向ける。サーキュレーターを天井に向けて使えば、部屋の上のほうにたまっている空気を流し、循環を作り出せるというわけだ。「空気だまりを解消し、空気を循環させることによって、室内の温度を均一にするのがサーキュレーターの用途です」(戸井田さん)。
 扇風機とサーキュレーターは使用目的が違うため、仕様も異なる。特徴的なのは、首振りの角度だ。「最近の扇風機は、上下首振り角度が10~40度あるいは50度と大きくなっていますが、真上を向くものはまだ少数です。一方、サーキュレーターは真上まで向けられます」(戸井田さん)。

季節で違うサーキュレーターの設置場所
 では、サーキュレーターを効果的に使うには、どうすればいいのか。暖かい空気は上に、冷たい空気は下にたまる特性があるため、季節に応じて置き方を変えるのがポイントだ。
 例えば夏は、エアコンが天井に向けて冷風を吹き出す。冷気は床にたまりがちなので、冷たい空気を下から上に流れるようにしたい。そのためには、エアコンと対面する壁にサーキュレーターを置き、エアコン下の壁に空気を流すように設置する。こうすることで、下にたまっている冷気が壁にぶつかって上に向かい、上にたまっている暖かい空気が押し出されるようにして天井や壁を伝って下りてくる。結果、エアコンの冷気がスムーズに循環する。
 一方、冬はエアコンが温風を真下に向けて吹き出す。暖かい空気は天井にたまりがちなので、できるだけ空気が上から下に流れるようにしたい。この場合はエアコンの下にサーキュレーターを置き、対面の壁に向かって風を押し出す。暖かい空気が対面の壁に届くと、そこから壁を伝って上昇していく。上にたまっていた空気は押し出され、エアコンから再び下に吹き出される。非常に、スムーズな空気循環が生まれる。
 サーキュレーターの置き場所や向きは、部屋の状況によって変わってくるが、エアコンから吹き出す空気の流れを妨げないのが重要だ。横から見た部屋の断面図を描くなどして、窓やエアコンの位置、家具の位置などを確認し、スムーズに空気が動くよう、最適な置き方を検討してほしい。

●部屋の臭い取りにも役立つ
「部屋のなかの嫌な臭いを外に出したいときも、サーキュレーターは活躍します」と戸井田さん。例えば、部屋でお好み焼きや焼き肉などにおいが強い料理をしていたとしよう。そのにおいを外に出したいと思ったとき、料理の後ろから窓に向けてサーキュレーターを置けばいいと思う人がいるかもしれない。
 その方法でも一定の効果はあるが、もっと効果的なのは料理と窓との間にサーキューレーターを置くことだ。「サーキュレーターは後ろの空気を吸って前に出す仕組みになっています。料理と窓の間にサーキュレーターを置き、後ろが料理、前が窓というように設置すれば、料理のにおいを含む空気を背面から吸い込み、窓のほうに吐き出すので、効率良くにおいを送り出すことができます」

サーキュレーターは機能で選ぶ
 では、自分の使い方にあったサーキュレーターを選ぶにはどうすればいいか。サーキュレーターによって異なるサイズや機能を理解しておこう。
 サーキューレーターには、DCモーター型とACモーター型がある。2つの違いは消費電力や機能だ。DCモーター型は、省電力タイプ。対してACモーター型は30W程度からと消費電力が高めだ。風量調節に関しても、ACモーター型は「弱」「中」「強」というような段階型で細かい設定はできないものが多いのに対し、DCモーター型は好みの風量を自由に設定できる無段階式が多い。
 「このように、省エネ面でも機能面でもDCモーター型のほうが優れており、長時間使用するのにお薦め。ただ、それに比例して製品価格も少し高めです。DCモーター型が1万~5万円程度なのに対し、ACモーター型は3000円~2万円程度とかなり差があります」(戸井田さん)。
 サーキュレーター専用モデルにするか、扇風機との兼用モデルにするかという選択肢もある。「扇風機にサーキュレーター機能をつけた製品は、サーキュレーターと扇風機、両方置けない家庭には適しています。一般的にサーキュレーターは首を振りませんが、扇風機には首振り機能がついています」。
 ただし、真上を向くかどうかは店頭で確認する必要がある。サーキュレーターとして使う際、真上に風を送れるかどうかは大きな分かれ目となるため、必ず確認しておこう。

タイプ別お薦めサーキュレーター
 最後に、タイプ別のお薦めサーキュレーターを3機種、戸井田さんに挙げてもらった。
 まだサーキュレーターを使ったことがないという人向けに戸井田さんが薦めるのが、扇風機にサーキュレーター機能がついたシロカの「DCサーキュレーター扇風機」。扇風機と同じ使い方ができるので、手軽に始められるという。この製品の特徴は、風を吸い込んで吐き出す「逆回転モード」だ。これを使えば、真上に向けた状態で、真下に空気を流すことができる。冬なら、上から下りてくるエアコンの暖かい空気を吸い込んで床に送り込むという使い方ができる。
 ダイソンの空気清浄機能付きファンヒーター「Dyson Pure Hot+Cool Link」は、その性能もさることながら、スタイリッシュなデザインが人気だ。その影響で縦型ファンモデルが注目されているが、サーキュレーターにも縦型モデルがある。
 サーキュレーターの老舗、ボルネードの「タワーサーキュレーター DCモーターモデル」だ。DCモーター型なので、最小消費電力1Wからと、従来の同社製品に比べて省電力。風量は0~99までと細かく設定できる。タイマーも備えているため、夜、寝る前にセットしておくという使い方もできる(スイッチング電源)。
 ダイキンの「アシストサーキュレータ」は、床に置くだけでなく、壁かけにしても使える変わり種だ。窓や部屋の入り口の上に設置するとエアカーテンにもなる。ドアや窓を開けていても、外の空気が部屋の中に入らないようにシャットアウトできる。スマホのアプリや米アマゾン・ドットコムの音声アシスタント「Alexa」で操作できる点も便利。もしダイキンのエアコンを使っているのであれば、エアコンと連動した起動や停止も可能だ。
 サーキュレーターは、エアコンや扇風機をサポートするために使うもの。主役になる家電ではないが、仕組みを理解してうまく設置すれば名脇役にもなる。
 この夏、部屋のなかの気温を均一に保つツールとして、サーキュレーターの導入を検討してみてはいかがだろうか。  


Posted by carlson  at 10:13Comments(0)